片隅でうたい続ける、わたしたちは。

詩人の秋野りょうと、写真家千川うた(仮)の女性二人のユニットで綴る、詩のブログです。

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

渇いた。

飛行機が撃ち落とされようと子供の手足がもぎ取られようと地球は容赦ないスピードでぐるぐると回ってまた、朝が来るのだ。まぶたを開いたときのエアコンから髪を撫でる風布団は足をのんびり包んでいる。渇いた。喉が渇いた。ゆうべ飲んだワインは変色した血…

不眠症短歌8

三十を過ぎて齢を重ねた日、死にたいと思う。母よ赦して。死ななくて死ねなくてまた死ななくて。ようやく生きて踏み出せている。女などにならねばよかった私など。子宮が憎い子宮をとりたいこの酷くデモクラシーの通じない東京に暮らす。光見えない。「メン…

眠る前にはいつも、死の一文字がよぎるけれども。

生きていく山道の途中の険しさや煩わしさを、その道端に投げ出してしまいたい。あとはもう、振り返りたくないのだ。ヘンゼルとグレーテルのパン屑みたいに、ほんとうは。暗い森を一刻も早く抜け出したいのだけれども出口は見つからずに、今夜も眠る前には死…

きみはどうしていますか

きみはどうしていますか。じしんのまえにむこうへわたっていったきみは。いま、どうしていますか。メールもでんわもつながらないからぼくはきみにあてて書きつづけるしかない。ぼくは思うのです、きみがこのせかいを見なくてよかったのではないかと思ってし…

眠ることでわたしたちは死ぬ

眠ることでわたしたちは死ぬ。毎晩、毎朝、死んで、生き返っている。冷凍カプセルにひとり入って未来をじっと待つような、暗闇への恐怖。眠りの中では誰も皆孤独だ。今夜もうまく眠ることができないが近くに人の寝息があるので安心する人の寝息というものは…