片隅でうたい続ける、わたしたちは。

詩人の秋野りょうと、写真家千川うた(仮)の女性二人のユニットで綴る、詩のブログです。

さよなら小鳥たち

さよなら小鳥たち

私の指先を小さな爪でつかんでいた小鳥たち

私の胎内からメロディーを吸い取って、はるか遠くへ羽ばたいていった小鳥たち

 

 私は森から出られない

 私は森から出られない

 

さよなら小鳥たち

私の体にふわりとした触感と、あたたかな温度の記憶を残して

吸い取られた胎内は、既に私の体ではないように感じる

 

 私は森から出られない

 私は森から出られない

 

さよなら小鳥たち

私の子宮をついばみ、どこか遠くへ運んで、棄ててきてはくれないか。

赤黒くグロテスクなそれを、静かな雨と一緒に街に降らせてくれないか。

 

 私は森から出られない

 私は森から出られない

 

さよなら小鳥たち

いつも、いつも、永遠のさよならと思って送り出すのだ

けれども、あの愛が塊になったようなモノは、

また戻ってきてほしい、私の指先をついばめる距離まで

 

 私は森から出られない

 私は森から出られない

 

 誰か私をこの森から出してください