片隅でうたい続ける、わたしたちは。

詩人の秋野りょうと、写真家千川うた(仮)の女性二人のユニットで綴る、詩のブログです。

にくしみ、あらそいは、どうして

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ぼくらからはどうして

にくしみが消えないのかな。

ゆうがた、やわらかな風がさらさらながれるこの街で

ぼくらはどうして

人をくるしめてしまうのかな。

 

ゆうべ点けたテレビでは

人が人を指さしてさも愉快そうに笑い転げていて

窓の外からは野良猫の飢えた声がした。

みんなどうやってあんなにきれいな服を着て

おんなのひとはきれいにお化粧をしてるんだろう。

そんな箱の中の虚像をお手本にして、ぼくらは

明日も社会に出るために満員電車に乗り込むのだけれど。

 

人をくるしめるのだったら、傷つけとまどわせるのだったら、

ぼくひとりなんかは消えてしまったほうがいいのかな。

ぼくは、もううたがうたえなくなってしまった。

ぼくにできることは、ここで静かにつむぐだけで。

 

ぼくらからはどうして、

みにくさが消えないのかな。

フライパンの底に焦げついた汚れを

ぼくは、たわしでごしごしとこする。

力いっぱいこする。ぼくのきたなさを。

 

どうしてぼくらは、人をころすのかな。

この、文明的になった世界で。

 

こんなにも、せかいはうつくしくみえるときだってあるのに

どうしてぼくらは、あらそいつづけてしまうのかなあ。