片隅でうたい続ける、わたしたちは。

詩人の秋野りょうと、写真家千川うた(仮)の女性二人のユニットで綴る、詩のブログです。

地を這うように、血を吐くように生きながら人を愛する

生きることと愛することを謳った映画を再び観てきたのだが、初めて観たときからあまりにも多くの時間が過ぎ去っていた。もっと最近のような気がしていた。あまりにも多くの混乱する出来事が、私の周りで、また、私の中で起こっていた。物語に容易にリンクす…

贖罪しながら、生きる

私にとって生きることとは既に、誰かに罪を償うための、いわば苦行であって、性という観念も誰かを無理矢理納得させるための手段でしかなかった。荒れ地にたったひとりになった敗残兵のように、私は裸で戦っていた。あまり、助けは呼べなかった。実際のとこ…

不眠症短歌10

@acchonbrico: たくさんの人が沈んだあの海も再び暴力受けて無言で #jtanka #平和@acchonbrico: じりじりと焼ける地面をサンダルでグッと踏みしめ平和をねがう #jtanka #平和@acchonbrico: 広島も長崎もあり福島も沖縄もあるこの地に立って #jtanka@acchonbr…

にくしみ、あらそいは、どうして

ぼくらからはどうして にくしみが消えないのかな。 ゆうがた、やわらかな風がさらさらながれるこの街で ぼくらはどうして 人をくるしめてしまうのかな。 ゆうべ点けたテレビでは 人が人を指さしてさも愉快そうに笑い転げていて 窓の外からは野良猫の飢えた声…

不眠症短歌9

「ゆるふわ」や「知的女子」ってくくられる、「女はこう」と。その閉塞感。恋愛はしていなかったセックスをすればよいのはただ楽だったスタンプを深夜に君と送り合う親指踊るリズム愉しい掴みたいエロの先にも見えること女の権利、産まない権利僕たちが互い…

渇いた。

飛行機が撃ち落とされようと子供の手足がもぎ取られようと地球は容赦ないスピードでぐるぐると回ってまた、朝が来るのだ。まぶたを開いたときのエアコンから髪を撫でる風布団は足をのんびり包んでいる。渇いた。喉が渇いた。ゆうべ飲んだワインは変色した血…

不眠症短歌8

三十を過ぎて齢を重ねた日、死にたいと思う。母よ赦して。死ななくて死ねなくてまた死ななくて。ようやく生きて踏み出せている。女などにならねばよかった私など。子宮が憎い子宮をとりたいこの酷くデモクラシーの通じない東京に暮らす。光見えない。「メン…

眠る前にはいつも、死の一文字がよぎるけれども。

生きていく山道の途中の険しさや煩わしさを、その道端に投げ出してしまいたい。あとはもう、振り返りたくないのだ。ヘンゼルとグレーテルのパン屑みたいに、ほんとうは。暗い森を一刻も早く抜け出したいのだけれども出口は見つからずに、今夜も眠る前には死…

きみはどうしていますか

きみはどうしていますか。じしんのまえにむこうへわたっていったきみは。いま、どうしていますか。メールもでんわもつながらないからぼくはきみにあてて書きつづけるしかない。ぼくは思うのです、きみがこのせかいを見なくてよかったのではないかと思ってし…

眠ることでわたしたちは死ぬ

眠ることでわたしたちは死ぬ。毎晩、毎朝、死んで、生き返っている。冷凍カプセルにひとり入って未来をじっと待つような、暗闇への恐怖。眠りの中では誰も皆孤独だ。今夜もうまく眠ることができないが近くに人の寝息があるので安心する人の寝息というものは…

不眠症短歌7

@acchonbrico: 名前のない恋人のこと、イエスのようにSieではなくてDuと呼びたい #jtanka

不眠症短歌6

@acchonbrico: 星に住む僕らの暮らしを決めるのに応答はなく沼底の虚無 #jtanka@acchonbrico: 貧しさはすべてを奪う生きがいも存在価値も尊厳すらも #jtanka投票率30%を切った中野区長選挙を経て、ふたつ。---@acchonbrico: あの人に会いたいと祈る午前4時あ…

不眠症短歌5

@acchonbrico: どんよりと暗い東京湾は、冷たい風に絶えず蠢き続けていた。対岸のすべての東京の光が反射していた。日常の暮らしは、労働は、あまねくひかりとなって夜空を描いている。聖霊はいるのかもしれない。ひかりを見せてくれた愛する人よ。 #詩@acch…

不眠症短歌4

@acchonbrico: ガラスからベッドに流れる雨音で膨らんだ指。ショパンが弾けない #jtanka@acchonbrico: トタン屋根に雨音がみすぼらしく響いて私の目はらんらんとしている。なぜ疲れたのに眠れないのか。かがり火をください、照らしてください!ほんとうに未…

不眠症短歌3

@acchonbrico: つまらない恋だの愛の歌や詩は、私は詠めない見たくもなくて #jtanka @acchonbrico: 淡い夜に心の中の山と谷を3Dで眺めて落下してゆく #jtanka @acchonbrico: 音楽を「音を楽しめ」と言う人よ、音に苦しむ私を殺せ #jtanka

不眠症短歌2

@acchonbrico: テレビからほとばしり出る光線は、僕ら支える生命体となって #jtanka@acchonbrico: 名前もない黒子が蠢く舞台袖から一歩踏み出して女は血を流す #jtanka@acchonbrico: パンがあれば人に分けたいようにまた、愉しい芝居をシェアしたいんです。 …

不眠症の夜に短歌を書きはじめた。

@acchonbrico: マンデリンに砂糖入れずに飲む僕を無邪気に褒める君との日曜 #tanka@acchonbrico: キリストよ、貧しき者こそ救われる日はいつ来るんですかこのニッポンで #tanka@acchonbrico: 眠剤の苦みが嫌で朝いつもファミマで買ってたオレンジジュース #t…

メメント・モリ、または桜。または、舞台。

桜は、天国への一番近い扉です。昔の人が言っていました、桜の木の下には人間の死体がたくさん埋まっていて、その養分で桜は咲くのだと。人間の、もう人間ではない物体の、腐ってどろどろに融けて、地下深くにはりめぐらされた桜の根っこたちに吸収される、…

輪、わたしたちの。

ともだちをともだちにあわせるときわたしはとてもうれしくかんじる。人間は誰でもひとり、なんて陳腐な歌詞みたいなセリフを一度たりとも吐きたくはないのだがそれでも、光の速さのインターネットが張り巡らされてわたしたちは、誰に会えばいいのか誰と話せ…

二輪の祈り

公民館のグランドピアノの傍でちょこんと座った私の髪はギュッときつく結われ、花びらのようなフリルのドレスを着させられて、その日一日はまるでお姫様でした。花束のにおい。おかあさんの拍手。おとうさんのビデオカメラ。(私があの舞台に置いてきてしま…